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自立への旅立ち
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5.今、ここに 〜17分間の会話〜《カリヨンモニュメント》

 「あいあい児童館」前。カリヨンモニュメント・ベルそれぞれの音色は、一つのメロディーにまとまると快い音楽となります。それでも私の音感力では、曲名の判定は無理な相談です。ただこの程度の聞き分けの力であっても、生活そのものに支障はありません。加えて聴覚の機能には、「聞こうとして聞かない限り、聞こえない」不思議な側面もあります。それゆえにカリヨンのメロディーは、人によって聞こえたり聞こえなかったりするわけです。

 午後5時。モニュメントが「お別れの曲」を奏でます。その下で2歳代の男児が仰向けにひっくり返り、「もっと遊ぶ”もっと遊ぶ”」と絶叫しています。無理もありません。2歳児は「この世は自分の思い通りになる」と信じているからです。当然、別れの曲やご両親の叱責などは、聞こえるはずもありません。それが3歳代になると、「思い通りにならなかったら、じっと辛抱する」ことができ始めるのです。このわずか1年の時間差は、生涯にわたる課題に連続しながら、きわめて大きな意味を持っています。

 人間の発達に関して、「遺伝と環境」のどちらの影響が大きいかの論争は、長期にわたり繰り返されてきました。それでも「発達とは一定の時間経過にそって、身体や心の機能を変化させる過程である」との観点は不変です。なお幼児の時間観念は、目の前に見えない「過去・未来」よりも、現在の「今・ここに」が中心であることを見落としてはなりません。子ども自身が目を輝かして、今の時々刻々をイキイキと生き切っているかどうかで、人としての成長や成熟の大半は決まってしまうわけです。

 ところで最近少し気になる新聞記事に接しました。
「現代人は電話よりメールを使う。人の顔を見ていない。インターネットで、世界の隅々と24時間つながる一方、身近な人との17分間の会話がままならない。21世紀の孤独。もちろん、私もその中の1人なのだ」

 17分間とは、1日の会話の総時間数なのです。相手の表情や身振りを見て、声を聞き、話の内容を理解し、自分の意見を表現する。人間同士の最も生々しいかかわり時間が、ほんのわずかにこれだけというのです。これは子どもの人間形成上に、致命的な影を落とすこと必定です。このたったの17分間を1分でも長くする悲願の下に、えひめこどもの城は用意されたものに他ならないのです。

平成17年2月1日

 
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自立への旅立ち
1.中央分離帯
〜探索・好奇心〜
《松山側駐車場の階段》
2.花落ちて、花開く
〜感性の育ちこそ〜
《通谷池周辺》
3.落葉帰根
〜植物の育ちと子育て〜
《四季の森》
4.恐怖心
〜泣かせると喜ばれる〜
《お化け屋敷》
5.今、ここに
〜17分間の会話〜
《カリヨンモニュメント》
6.心って?
〜人と人との関係の問題〜
《周遊園路》