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がまんする
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4.危険回避力 〜擦りむき傷〜《せせらぎ》
 池のあるせせらぎでの出来事です。「アッ。シマッタ」と思った瞬間、身体は仰向けのまま池の中です。浅い池ですから慌てることもないのですが、恥ずかしさも手伝って何とか早く立ち上がりたいともがきました。でも右手には全く力が入らないのです。ままならぬ腕の中を焼け火箸同様の激痛が走りぬけます。後刻の診断書には骨折、全治2ヶ月の重傷と記入されていました。

 いやでも即刻入院の身となりました。ベッドの中で再三再四にわたり自分の散漫さ加減を反芻(すう)いたしましたが、腕の苦痛はいっこうに軽減されませんでした。ただ1つだけ気分転換の方法がありました。それは連日のワールドカップ戦を見ることでした。しかしこうは言ってもやむなくテレビに目をやっているだけで、サッカーへの関心は皆無に等しいのです。

  それでも回を重ねるにつれて、鍛えに鍛え抜かれた選手達の身体の動き、そのしなやかさとしたたかさにはただ感嘆、感動、絶句の連続でした。不思議といえば不思議なのですが、わが身が不自由=劣位であればあるほど、健常な人の自由=優位さがよけいに鮮明に映るわけです。

 閑話休題。山や谷、森や池・・・。それぞれが演出する自然性こそがこどもの城の特色です。当然、ここにはいろいろな危険が横たわっております。だがスリルに満ちた危険な遊びほど面白い。子どもの心性は大人が管理する遊びでは躍動しないのです。にもかかわらず現代の子どもの多くは、「危ないから気をつけましょう。あれもダメ。これもダメ」との禁止(保護)区の中に生きているのです。これは一見、恵まれているようですがほんとうは悲劇的なことなのです。なぜなら真綿の中でぬくぬくと育った子は、愚かなわたしと同じように大怪我をしてしまう可能性が高いからです。

 今、この子たちに必要なことは、小さい怪我はしても大きい怪我は絶対にしない「危険回避力」なのです。サッカー選手たちは長期にわたる血みどろな訓練や生活体験を通し、こうした能力を会得しているわけです。当園での遊びの中で、遭遇する小さな怪我、その擦りむき傷に流した涙の価値も、かかってここに連続するに違いありません。

平成14年8月1日
 
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がまんする心
1.敗者の哲学
〜負けること〜
《おもちゃの倉》
2.ああ、同胞
〜損な役〜
《映像コーナー》
3.体験・労作学習
〜雑草のごとく〜
《果実の森》
4.危険回避力
〜擦りむき傷〜
《せせらぎ》
5.体力診断テスト
〜運動能力こそ〜
《マウンテンバイクコース》
6.開園5周年
〜3つ子のたましい〜
《こどものまち》