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情緒を育てる
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5.感受性 〜生(なま)体験こそ〜《ふれあいトンネル》

 久方ぶりの寒波襲来。こどもの城周辺もめずらしい積雪に、すべって転んでの笑いと涙でした。そして今、桜花爛漫(らんまん)の春。この時節はやがて炎天下の夏、綿秋の紅葉へと引きつがれ、四季それぞれは価千金の舞台を演出することでしょう。ただしここでの美しさには見ようとして見ない限り見えない、感覚上の落とし穴がひそんでいることを忘れてはなりません。

 私は本園を散策する時いつも道元禅師のことばを想起します。「春は花、夏ホトトギス、秋は月、冬雪冴えてすずしかりけり」。別に深い意味はありません。が、ただぶつぶつと反芻(はんすう)していると、えひめこどもの城に点在する天与の花鳥風月が、至宝のものとして受容できるような気になるのです。

 松山市と砥部町を結ぶふれあいトンネル(227メートル)内の風景も、その1つであります。とりわけ陽炎(かげろう)燃え立つ真夏日の涼風、烈風吹きすさぶ厳冬の寒気はまた格別です。ここで人間のみが使用するすずしい、さむいとのことばも、トンネル内での実体験に支えられてこそ、はじめて生きて機能するに違いありません。幼少時期での学習の原点は「いかに教えられたかよりも、具体的経験の場がどれほど豊かに用意されたか」にあるのです。そのためにはあらゆる場所で、遊びの「生(なま)体験」がさらに真剣に模索されてほしいものです。

 きょうも子どもたちが関係する痛ましい事件が発生しました。まさに現代社会並びにその教育は、心の問題をめぐって疲弊困惑(ひへいこんわく)の態ありありです。百点、満点が取れる頭は育ってもあたたかい思いやりの心は育たない、痛切な現実はまぎれもなく現実なのです。そのせい惨さへの対処策の多くは泡(あぶく)同然の非力さで、前途の光明はいっこうに見えて参りません。

 ただそれでも最善で、最後の道は、美しいものは美しいと弁別し受容できる豊かな感性の育ちにあります。しかもこれは知識や技能の習得を主務とする学童期以前、幼児期での最重要課題に他なりません。えひめこどもの城での遊び体験の中で、五官全体を研ぎ澄ませながらモノやヒトと向き合うことは、即、貴重な心の育ちのためにもあるのです。

平成15年4月1日

 
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情緒を育てる
1.絶対的信頼感
〜アルバムの厚さ〜
《幼児コーナー》
2.母子一体
〜おむつ軍団〜
《授乳室》
3.核家族
〜ああ。異年齢交流〜
《親水護岸》
4.聴覚映像
〜聴く読書〜
《図書コーナー》
5.感受性
〜生(なま)体験こそ〜
《ふれあいトンネル》
6.知行合一
〜ウグイスの谷渡り〜
《屋外トイレ》