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見えない学力
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2.「手に仕事を、頭に思考を」 〜だったら、全部やってよ〜 《創作工房》
 花の丘ゾーンの東屋で、お母さんが仲良く並んでカンバスに向かっておられます。絵筆を走らす後ろ姿には、すでに一段落を遂げた子育てへの安堵感がにじみ出ているようです。その穏やかな表情と雰囲気は、まさに親は親・子は子としての母子分離の到達点を、「一幅の絵」のように描き出しております。

 続いて創作工房に入りますと、ここでは親子が共同で粘土をこねながら、「てがた」の原型を懸命に仕上げています。これは後日、成長の記録としても保護者からなかなかの好評を博しているようです。しかし子どもたちは出来上がった作品よりも、やわらかい粘土の手触りや、手加減の具合で容易に変わる形そのものに、興味が駆りたてられている様子です。とりわけ3歳時期からは、自分で考え自分の手で造ったモノは、宝物のように大事に取り扱い始めます。これは手に仕事を頭に思考をとする、体験学習の願いからしてもすばらしいことです。

 ところで先ほどまで、あれほどに饒(じょう)舌だったお母さんがたの口数が急に少なくなりました。何とかして後世に残る記念品を創ろうとの気負いが、いつの間にか楽しい親子の会話を退け、お母さん独りだけの手作業を呼び込んでしまったのです。当然のことながら、子どもたちは「面白くない。だったら、お母さんが全部やってよ」と叫んでいるようです。ここでの子どもの本音は、お母さんといっしょに作業をする中で、懸命にがんばる自分を偉い偉いと認め、ほめてもらえるところにあるのです。それだけにすべての子どもたちは、そのような賛辞を原動力としながら、さらにやる気や自立心を奮い立たせていることを見落としてはなりません。

 しかも一つのモノを作り出す喜びは、出来上がった結果よりも、それをつくる過程そのものを楽しむ中にあるのです。そのためにも賢明な関与者は、子どもからの内発的なニーズに見合うサービスの仕方と、それがおせっかいにならない一線を、即断即決の判断で決定しているわけです。しかしその実践は安易なものではありません。それは今日の子どもたちの多くが、最初から自分には無理だ、出来ないとの限界を簡単につくり出す傾向があることからも明白です。いわゆる「やる気のない子」が生まれる要因の大半は、子どもが何をするにしても、必ず自分でレールを敷いてやらないと気が休まらない、親の罪によるものなのです。

 えひめこどもの城での遊び体験は、親自身が「あまり教え過ぎないこと」を会得するたもにもあるのです。そのために私どもは、まず子どもからの積極的なやる気の発動を、歯を食いしばって、ただひたすらに待つことができなければなりません。 

平成17年6月1日日
 
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見えない学力
1.無駄の効用
〜雑学の強さ〜
《竹林》
2.手に仕事を、頭に思考を
〜だったら、全部やってよ〜
《創作工房》
3.鳩の糞(ふん)害
〜親は無くとも子は育つ〜
《光の塔》
4.合計特殊出生率
〜兄弟は他人の始まり?〜
《ボールプール》
5.一緒に遊ぶ人
〜お別れじょうず〜
《児童館周辺》
6.これから、児童館は
〜駆け込み寺〜
《遊歩道》